毛と皮膚組織の構造

毛の基礎知識

毛(無駄毛)は下図のように皮膚組織の一部として介在しており、手の平、足の以外の殆どの部分に毛が生えています。毛は必然的に生えていて、本来、皮膚の保護、体温調節、など重要な役割があるはずなのですが、近年、人の生活環境や文化などの変化により、重要な役割がなくなってきています。

皮膚断面図

◆毛の構造
毛は、皮膚の下に埋まった部分を毛根部といい、皮膚より上に出ている部分を毛幹部といいます。毛は毛根部の一番下の皮下組織にある毛乳頭に毛細血管から栄養が送り込まれることにより、毛母細胞が細胞分裂することにより少しずつ毛が伸びてゆきます。

《毛球》
毛の発育で重要な根っこの部分の毛球部。その中の毛母細胞は活発に細胞分裂を繰り返し、上方に毛を伸ばす役割を担っています。

《立毛筋》
皮膚の毛包から真皮へ斜めに走る平滑筋のことで寒さなどの刺激によって収縮すると毛が立ち、自分の意思では動かせませんが、気温や環境によって毛を立たせたり寝かせたりする役割を担っています。俗に言う鳥肌は、この起毛筋(きもうきん)の働きによります。

《エクリン腺》
汗腺の一つ。全身の皮膚に分布し、日本人で約二〇〇万〜五〇〇万個あるといわれており一八〇万〜二八〇万個が常時働いていて、発汗などにより体熱の放散、調節を行っています。

《皮脂線》
皮膚の内層にあって、脂質を蓄積し、毛孔を通じて皮脂として体表に分泌する腺。手のひらと足のうら以外の全身にある。脂腺。

《毛乳頭》
毛根部分の最も深い部分にあり、髪の毛を作るために必要な栄養素が血液によって送り届けられることにより、毛母細胞に栄養の供給や生え変わりなどの情報伝達を行っています。